悪魔達の便所



ドッゴ!!


バギャッ!!


薄暗い夜の公園の片隅で、突如二発の打撃音が鳴り響く…


オタク1「なっなっなっ!?…何を!!」

オタク2「ブッ!!…ブヒィ!?」

チーマー1「ヒャハハハハッ!!
      なっ?言ったろ?コイツら余裕だってよ〜w!?」

チーマー2「オマエ、アッタマいいなぁ〜オイ!!」

チーマー3「こないだ行ったアキバじゃ、オタク共はウヨウヨいたけど
      最近は警戒して、中々狩場に来やがらねぇもんな」

チーマー1「だろ!?だからアキバよりも年に何回かやってやがる、
      でけーオタクイベントに群がる、かっぺオタク狙ったほーが良いんだよ」

チーマー2「なるほどなっ、上京したての無警戒なヤツらは、
      まさかオレらがこんなとこに居るとは思ってねぇだろーしなぁ」

チーマー3「しかも駅に行くにゃ、ココが一番近いルートだし、
      ぜってー誰か通りやがるっ、考えたなぁw」

そう言うと男達3人は二人のオタクを取り囲んだ。

チーマー1「らぁっ!!財布だせゴラァ!!」

オタク2「ブッ!!ブフッ!!」

オタク1「あぎゃっ!!」


オタク二人は、チーマー達から強引に財布を奪われたが、

そのあまりの迫力に、何も出来なかった。

チーマー1「…ん!?……オマエらこんだけしかもってねーのかよ!?
      …ビンボーオタクかぁ!?」


チーマー男の言うとおり、オタク達は千円一枚と小銭程度しか現金を持っていなかった。

チーマー2「あぁっ!?マジかよ、コイツらカードも持ってねーじゃん!!
      オレら対策かぁ!?」

チーマー3「いや、待てよ……よくよく考えてみりゃあ、
      コイツらオタクイベントで買い物したばっかだから
      金持ってねーの当たり前なんじゃね?
      現場じゃ金卸せねぇだろーから、カード持ってても意味ねーしよ…」

チーマー2「確かにスゲー荷物だな…。
      有り金全部つぎ込んでんじゃねーのか?」

チーマー1「クッソ!!行きがけを狙やぁよかったぜ!!
      しかたねぇ、コイツらの荷物でも売り飛ばすか?」

チーマー3「おいおい、売るってこたぁオタクの店に行かなきゃなんねーんだろ?
      オレぁ、あんなキモいトコ行きたくねーぞぉw?
      まあコイツらに自分で売りに行かせるってぇ手もあっけど…」

オタク2「いっ!!…いやなんだな…」

オタク1「そ、そ、…それだけはご勘弁を!!」

チーマー3「あぁんっ!?またブン殴られてーのか!?」

オタク1・2「ヒィッ!!」

チーマー2「取り合えずカバンの中身、見てみようぜっ」


チーマー男達はオタク二人組から、即売会で購入した同人グッズが大量に詰まった、

リュックサックや紙袋を強引に奪い取ると、中身を地面にバラ撒いた。


ドササッ!!


チーマー1「!?うおっ!!…スゲー数の本だな。
      しかも全部エロ漫画かよっw
      コイツらコレでセンズリしてやがんのかぁっ!?」

チーマー2「ギャハハッ!!ポスターに、グッズ、何から何まで
      どっかで見た事ある漫画のエロい絵が描いてあるぜ!!」

チーマー3「じゃあコレ部屋に張んのか!?チョー気持悪り〜w」

チーマー達はしばらくカバンの中身を漁っていると、

今度はデジタルカメラとビデオを発見する。


チーマー1「おっ!!コレ高く売れんじゃね!?」


オタク1・2「!!」


その言葉を聞いた二人のオタクの顔色が急に青ざめた。

チーマー1「あ?何だぁ!?コレそんなに高けーのかぁ!?」


男は二人のオタクの方を見ながらビデオのボタンを適当に押す。

チーマー2「マジかよ?そのビデオどこのメーカーだぁ?」

チーマー3「いやっ、違うぜ、画面見てみろよっ!!」

チーマー1「うおぉっ!!スゲぇーッ!!」

チーマー2「…おっ!?…見ろ!!…こっちもだ!!このカメラっ!!」

チーマー3「なるほどなぁwコイツらコレがオレ達にバレんのをビビってたのかぁっw」


なんと、オタク二人組の持っていたデジカメとビデオには、

会場に来ていた女性コスプレイヤー達が数多く収められており、

そのほとんどが、露出がきわどく、いやらしい衣装を身にまとった者や、

胸が大きく、性欲をそそる様な容姿の者ばかりで、

さらには、それををローアングルから捉えた物もあり、

二人が盗撮マニアであるという事は、誰の目から見ても明らかであった。

そして、そんなコスプレイヤー達の本物の盗撮動画と画像を

初めて目にするチーマー達自身も、興奮気味だった。


チーマー1「オイオイwコイツら立派な犯罪者じゃねーかw」

チーマー2「しかしスゲーなぁ!!これが噂のコスプレイヤーってヤツらかよ!?
      なんかオレ、チンポ勃ってきたw」

チーマー3「くそ!!このピンク色の服着た女犯してぇぜ!!」

チーマー1「おっ!?オマエもか、そいつのケツたまんねーよなぁw
      バックから突きまくてやりてぇぜ!!」

チーマー1「おいっ!!オタク共っ!!
      コイツらいったいいくら払やぁ、ヤらしてくれんだよ!?」

オタク1「かっかっかっ…彼女達は…そっ、そういうのは、
     しっ…してませんです…ハイ」

オタク2「そっ…そうなんだな」

チーマー1「あぁん!?…オメーらオタクのアイドルを、
      オレらに取られんのがイヤだからってダマしてんじゃ…」


オタク1・2「…あぁっ!!」


その時だった。

オタク二人組が突然、この公園の中を横切っていた一人の若い女の方向を、同時に指を刺す。

チーマー達「あぁん!?」

なんと偶然にも、先ほど男達の目に止まったコスプレイヤーが、

今まさに目の前を横切ろうとしていたのだ。

だが、サークル“ブラザー2”の売り子である高瀬瑞希も、

オタク達同様こみぱの帰りだった為、この場所を通る可能性も十分にあり、

あながち偶然とは言えないのかも知れない…。

しかし、運が悪い事に今日に限って瑞希は、用事があったため

和樹や大志達を置いて、一人で先に帰宅しようとしていのだ。


チーマー2「おいっ!!アレ、この女じゃねぇか!?」

チーマー3「マジかよっ!!…犯っちまうかっ!?」

チーマー1「まあ待て……オイ!!オタク共!!
      あの女拉致って、そこの便所までつれて来い!!
      そしたら今日は見逃してやんぜ!?」


チーマーの一人が、突然二人のオタクに条件付の提案を出してくる。

その言葉を聞いたオタク達二人は、顔を見合わせると無言でうなずいていた…。

その顔にはもはや先ほどまでの怯えた表情はなく、

逆に獲物を狙うハンターの様な眼つきであり、

“コスプレイヤーに一瞬でも触れる”

その事だけが完全に二人の脳を支配していた。

それに、その女を黙らせる後始末なら、横に居るチーマー達の得意分野のハズ、

しかも運が良ければ、おこぼれにありつけるかもしれない。

そう考えたオタク達二人は、即決断を下した。


ダッダッダッダッダッ…!!


瑞希「えっ!?」



突如、物凄い速さで瑞希の方に駆け寄って行く二人のオタク。

瑞希がその気配に気付いた時には、すでにその二人に両腕を掴まれており、

悲鳴を上げる間も無く強引に拉致され、チーマー達の元へ即座に移動させられる。


瑞希「いやぁっ!!…はっ!!はなしてぇ!!」

オタク2「おっ…大人しく…すっ…するんだな!!」

オタク1「やっ、やっ、やっ、やりましたぁっ!!!」



チーマー2「ヒャハハハハwコイツら結構やるじゃん!!」

チーマー3「童貞パワー丸出しだなw何回乳触ってんだよw」

チーマー1「よっしゃっ!!デブはビデオ持って中に来いっ!!
      ノッポの方のおまえは、清掃中の札をかけて外を見張っとけ!!
      心配すんなっ、後でいくらでもヤらしてやっからよぉw」


こうして高瀬瑞希は3人のチーマーと2人の盗撮オタクにより、

男子便所の奥まで、強制的に引きずり込まれたのだった...。