「ぶっかけビーチ」
7月 猛暑の続く、ある夏の日、
瑞希は一人、都心から外れた郊外の海水浴場に来ていた...。
巨大即売会“こみっくパーティー”に参加するため、
毎日の様に机に向かう、幼なじみの和樹と、
和樹にそれを勧めて来た“諸悪の根源”大志…。
瑞希は、彼らのマイペースぶりに、いい加減あきれ果て、
なかば当てつけの様に、一人で飛び出して来たのだ。
その日の海岸は、休日という事もあってか、かなり混雑しており、
特に若い男女が大勢押しかけ、浜辺はまるで祭りのように賑やかだった。
しかし、瑞希はなぜか適当な昼食を売店で購入すると、
屋台などがある場所からかなり離れた、人気の少ない場所を目指し、さっさと歩き始める。
その理由とは…。
「ねえねえ一人なの?」「連れはいないの?」「一緒に泳がない?」
決まりきったセリフ言いながら、次から次にやって来るナンパ男。
ただ単に海水浴を楽しむためだけにこの場所に来ていた瑞希にとって、
それらは、迷惑以外の何ものでもなく、彼らの誘いを断る作業に、ほとほと疲れ果てていたのだ。
だが、瑞希の方にも問題が無かった訳ではない…。
その日の瑞希は、何の計画も立てず家を出発しており、
水着の方も、現地で購入すればいいぐらいにしか考えていなかったのだ。
しかし、付近のどの店に行っても自分に合うサイズの水着が残っておらず、
しかたなく、売れ残っていた小さ目の水着を付ける事にしたのである。
だが、明らかにサイズの合わないその水着は、
瑞希の豊満なバストや肉付きのいい下半身をさらに強調した上、その容姿と相まって、
ナンパ男達の視線を一斉に浴びる事となり、一瞬にして浜辺の注目の的となってしまう。
中には、股間を硬くさせたままナンパして来る輩までおり、瑞希も驚きを隠せなかった。
数分後...。
人気の全く無い岩場まで移動した瑞希は、これでようやく落ち着けると、
ホッと胸を撫で下ろしながら、荷物を下ろしてシートを広げ、その場所を確保した。
瑞希「う〜ん、いい気持ぃ…やっぱ夏と言えば海よねっ!
あんな狭い部屋で一日中マンガ描いてるなんて、
和樹達、ホントどうかしてるわよね」